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マグナム

報道写真はビンテージではない。
世界のどこかで起こった重要な出来事をリアルタイムに人々に伝える
メディアである。
“マグナム・ファースト日本展”が始まった。
マグナムという報道写真家集団が1955年に
初めて行ったグループ展である。行方がわからなくなっていたそのときのプリントが発見され、
60年ぶりに陽の目を浴びるというから
ちょっとしたニュースだ。
ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ・ブレッソン、エルンスト・ハース…
僕が写真を始めた頃の70年代後半にあっても彼らはスターであった。キャパの「ちょっとピンボケ」を読み、ブレッソンの「決定的瞬間」に憧れた。高校の頃、何度も読んだ重森 弘淹の「世界の写真家」が報道よりだったことも大きく影響しているだろう。
写真というものが国やメーカーのプロパガンダとして利用されるのはその始まりから写真が背負った重い十字架である。スターに祭り上げられメディアに利用されることに対して、彼らは彼らなりに自分たちの信じる写真を守るためにマグナムを結成したのではないだろうか。
報道写真が成り立つための三つの要素を挙げれば、カメラマン、被写体、そしてそれを見る人であろう。写真を見るときにはそこに込められた真のメッセージを読み取ることが求められる。
 マグナムはブランドである。今見るべきものは60年前の彼らの写真より
現在進行形の報道写真である。しかしながら、彼らが情熱をもって捉えた60年前のオリジナルプリントが語りかけてくるものこそが、写真の持っている力なのではないかと感じた。


マグナム_c0187449_10334417.jpg

by yoshirohigai | 2016-04-23 10:34 | その他