メンテ 3

 中学2年の秋、どうしてもカメラ、それも一眼レフが欲しくなって、貯金をはたいて買った。78500円だった。写真に興味があったというより、とにかく一眼レフが欲しかったのだ。ひょんなことで読み出した「誰も言わなかったカメラ選び」青春出版。の影響で自分が手に入れるべきカメラはどれだ!という状態になっていた。あれが撮りたいからカメラが必要というのではない。とにかく自分にとってベストな一眼レフを手に入れなきゃとなっていたのだ。性能、価格、本の中のおすすめ度などを何度も何度も検討して、カタログの『完全から完璧へ』というコピーとずらりとレンズが並んだ写真が気に入り、OLYMPUS OM-1 new ZUIKO 50mmF1.4を購入した。キャノンAE-1、ペンタックスMX、リコーXR-500 (サンキュッパ)が対抗馬だったが「マニュアルで始めろ!」という、その本のメッセージと大場久美子のコマーシャルがよかったからか(OM-10のコマーシャルだったけど…)オリンパスを選んだ。あのころはテレビでカメラのコマーシャルってよく流れていたなあ、それで、カタログも分厚くて超豪華でカメラ店に行っては各社のカタログを何冊も、もらってきていた。多分カメラ業界は今よりずっと潤っていたに違いない。
 中学生が大枚はたく、後ろめたさを、ごまかすためにヨドバシカメラの『まあるい緑の山手線〜』を歌いながら新宿までいった。さぼりつづけていた剣道の月謝を払ってやめるのと、カメラを買うのとを天秤にかけたが、やめるのにどうして月謝払うんだ? ただやめればいいじゃん。と自分なりのへんな結論を出してカメラを買うことになった。今思いかえしても、ホントは筋を通したかった。あれがスポーツマンではなく、カメラマンになった人生の決断の時だったにちがいない(!?)。
 さて、34年の月日が経った。いろんなカメラを使ってきたけれど、OM-1Nは今も手元にある。フィルムを入れることはほとんどないが、ボケるくらい明るいファインダーを覗いて、ゴリゴリとさまざまな機械仕掛けが施されている巻き上げレバーに親指をかけ、シャッターを切ると、当時と変わらない金属の反響音が耳の奥にこだます。  
 
 今日、レザーの張り替えをやった。大学時代に一度、自分で替えたことがあったのだが、納得いく出来ではなかった。当時は専用の替皮が売られていたけど、カメラ雑誌の記事の中でDIYでやる方法が載っていて、なんだか簡単そうだったので、自分でやってみたのだ。要は元からあるオリジナルの合皮をはがし型紙として使うのである。それをクラフトショップで売っているお気に入りの皮になぞりカットして貼るだけだ。接着は両面テープを使う。思ったよりはうまく出来たのだけど、幅広の両面テープがなかったので2列に継ぎ足して貼った。どうせ隠れてしまうからとテープを重ねてしまったのだが、それが失敗だった。出来上がってみると両面テープが二重になっているところにくっきりとラインが浮かび上がってしまった。皮は下地の微妙な凹凸までしっかりと出してしまうのである。不本意な仕上がりになってしまったけど、結局、直さなかった。セルフタイマーの辺とか、それなりの苦労もあったし、次回は気をつけようと心に誓った。けれども、機能優先のプラスチックカメラばかりを使うようになりすっかり出番は無くってなっていたのだが、28年目の今日ようやく達成した。


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by yoshirohigai | 2014-04-30 16:46 | 写真メモ

写真家 樋貝吉郎(ヒガイヨシロウ)が日々の暮らしや3板「スノーボード、スケートボード、超たまにスノースケート」をはじめバックカントリーのことを気ままに綴るフォト&コラム 。樋貝から最新のメッセージ「この滑りを何が何でも記録して欲しい! という撮影を希望するひとの連絡をおまちしてます」。お問い合わせ先 http://studiofishi.com


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