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diplomatie

「パリよ、永遠に」という映画の試写会に行った。
映画の舞台は第二次世界大戦末期のパリ。敗戦が濃くなったナチスドイツ。ヒトラーの常軌を逸した命令でパリを壊滅させる計画が進行していた。中立国であったスウェーデンの大使がそれを止めようとドイツの指揮官と話し合いをする…。映画のなかで一番驚いたというか、知らなかったのは戦争にはルールがあるということだった。

「戦闘地帯でないパリを破壊するのは国際法に違反するぞ」
といったような台詞があった。

そもそも自分にとっての驚きは戦争という行為は認められているということだった。wikiペディアで調べてみると、『戦争とは、おもに内政問題あるいは外交問題の武力解決であり、国家による政治の一手段である。…』政治の一手段とはさらに驚愕だ。戦争とは軍事政権が暴走して起こす不条理なものだと思っていたのに、もともとはそういうものだったのか…もちろん、現在は『1928年締結のパリ不戦条約締結以降、国際法的に自衛戦争以外の侵略戦争は禁止されている。』とも書かれているが、何をもって自衛と判断するかは難しい問題だ。

上映後に元NHKアナウンサーの磯村尚徳氏と堀潤氏が登場してトークショーがあった。磯村さんは小学生の頃「ニュースセンター9時」で目にしていた。話している内容はチンプンカンプンだったけど、子供ながらに外国語を自由に操るダンディなおじさんという印象があった。あれから40年が経っているというのに老けたなあということもなく、85歳という割には大変お元気そうだった。
新旧のアナのやりとりは興味深いものがあった。
http://www.nikkatsu.com/report/201502/001936.html
「文化は最大の安全保障である」という言葉が印象に残っている。故にパリ、京都奈良も大戦の折に戦火を免れたそうである。果たして今の日本には世界中の人が残したいと思う文化があるのだろうか?

『こんな時代になにやってるんだ。』と誰かがささやいているんじゃないかと自分自身でぐるぐるやっている。
「ニュースセンター9時」が放送していた小学生時代、僕は忍者や武士に傾倒していた。今で言う歴男子(?)だ。不名誉なことをしたなら切腹するべきだと疑わずにいるような奇特な子供だった。国語の授業で教科書に載っていた平安時代の武士、新羅三郎が笙の秘伝を伝えるために戦線を脱する話の感想を作文に書かされ、『たかが音楽のために情けない』というような感想を書いた。それに腹を立てた担任教師は名前こそ公表しなかったが、クラス全員の前で作文を読み上げた。子供ながらに価値観を押し付けることに腹がたったのかもしれない。
そんな困った少年も年を重ねるうちに、憧れていたドラマ、漫画の歴史ものに描かれる格好良さ、勇ましさは戦争を美化したものだったと思うようになった。
リアルに想像すれば、僕らのご先祖さまたちが繰り広げてきた世界観はそんなにドラマチックなものなんかじゃなかっただろう。生き残りを賭けたとはいえ、それは殺人なのだから…。

こんな時代だからこそ、一生懸命、遊ぶ(文化)ことが大切なんだと自分に言い聞かせる。

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by yoshirohigai | 2015-03-06 11:46 | その他